消防車輌 | 救助工作車 | ロッツラー「トライマチック」ウインチ |
ロッツラーウインチに新方式モデル登場
ウインチの巻取方式がドラム式とは全く異なり、ワイヤー長さがどんな時でも、その最大引張能力が常に一定のトライマチックウインチ。
写真に示したように、これまでのドラム方式とは全く異なった形状です。
名 称 | ロッツラー「トライマチック」ウインチ |
型 式 | ロッツラー TR 030/6 |
ワイヤー巻取方式 | 2ローター巻取方式 (2つのローラーにワイヤーを5~6回巻き付け、ローラーとワイヤー間の摩擦力により、ワイヤーを巻き取ります。) |
最大引張能力 | 常時5トン (ワイヤー引出長さに関係なく、つまり対象物は遠くても近くても、常にその最大引張能力は変わりません。) |
引出方向 | 前引きまたは前後引き(これまで通り、いずれにも対応できます。) |
引出口形状 | これまでのテイセン救助工作車と同じ形状です。 |
ドラム式 | ワイヤー引出長さに応じて、段階的に最大引張能力が変化します。 ワイヤー1層目 5.0トン ワイヤー4層目 3.7トン (ワイヤー先端が車に近づくにつれ、能力ダウン) |
トライマチック式 | ワイヤー引出長さに関係なく、最大引張能力は常に一定です。 (ワイヤー先端が車に近づいても、能力はダウンしません。) |
現在救助工作車で使用されているウインチは、どのメーカーも、また能力の違いがあってもすべてドラム式です。
ドラム式は構造が簡単ですが、ワイヤーの長さ(巻取の段数)に応じて、引張能力が変わってしまいます。これは物理的に避けられませんが、能力ぎりぎりで使わざるを得ないとき、最初は引けたものが車両に近づくにつれて引けなくなるといった現象が出てきます。
一方ここで紹介するロッツラー社のトライマチックウインチは、ウインチの巻取方式がドラム式とは全く異なり、ワイヤー長さがどんな時でも、その最大引張能力は変わらないという優れものです。それゆえ構造的にも複雑で、コスト的にもドラム式より割高になりますが、一方最大引張能力が変わらないことから、危機に対応する救助工作車にはもっとも適切なウインチといえるでしょう。
以下その構造や作動の原理など、簡単に解説します。
尚、ワイヤーの微妙な作動等に関してはこれまでのロッツラーウインチと同様(もしくはそれ以上)と考えてください。
ウインチ本体を以下に示します。ドラム式に比べかなり複雑な構造であることがわかります。
ワイヤー巻取装置の基本は、2本の溝付ローラーにワイヤーを6回程度掛けまわしたものです。ロープ先端に負荷がかかっているとロープはローラー側に締めこまれ、そこでロープとローラーとの間に摩擦力が発生します。(ロープをずらさない力)
この状態で2本のローラーが回転し、ロープを引き込んでいきます。引き込んだロープはガイドローラーに沿ってロープ収納ドラムに導かれます。ロープがドラム内側に押し込まれると、その力でドラム自身が回転します。
つまり一定の場所からロープがドラム内に押し込まれ、ドラムが回転することにより、自動的にドラム内にワイヤーが巻かれて収まっていきます。
ドラム式はワイヤーをドラムに巻き付けていきます。ワイヤーを最後まで出して巻き始めたときが、もっとも引張力が大きいときです。ワイヤーを巻取り、1層目、2層目、3層目と巻太さが太くなると、引張力は段階的に減少してきます。これは力学的に妥当なことで、ドラム方式では避けることはできません。
一方トライマチック方式は、このように引っ張り力が減少していくことはありません。それは巻き取るローラーの径が変化しないからです。
このような理由から、ワイヤー引出長さと最大引張能力の関係は、下図となります。
それではどのような形で車両に架装されるのでしょうか。その形を以下に示します。
(1)最大引張能力は、常時5トンです。
(2)巻取方式ではないため、乱巻はありません。(従ってテンションローラーもありません)
(3)前引き、前後引き共取付可能です。
(4)このウインチは、ロッツラー社 トライマチック TR030/6です。
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